この前のテスコボーイが4回リーディングサイアーになった話は前回の「スピードを求めて2 プリンスリーギフト-テスコボーイ系」でお知らせしました。
その後2年間、人気先行?!のアローエクスプレスが2年間リーディングサイアーになりますが、翌年の1982年から1992年までの11年間で1989年のミルジョージを除き、ノーザンテーストが10回リーディングサイアーになっています。
ノーザンダンサー系は当時から現在まで世界を席巻しており、ニジンスキー、ヴァイスリージェント、リファール、ダンジグ(ダンチヒ)-ディンヒル、ヌレイエフ、ストームバード-ストームキャット、サドラーズウェルズ系と枚挙にいとまがありません。
そんなノーザンダンサー系絶頂の前?!、1972年吉田照哉氏がアメリカのセリ市で3000万円ほどの安値で落札できました。脚が短く頭がでかく見栄えは良くなかったそうです(像を見る限り確かに脚は短めですがそれほど不格好には見えません)。また、欧州でG3勝ちはあったもののイギリスのクラシックで4、5着の戦績があります。フランスでフォレ賞を勝っていますね。
1975年に日本に入り、1982年以降前述したテスコボーイや人気のあったアローエクスプレス等を抑えてリーディングサイアーになります。
血統
血統についてはもちろんNorthern Dancerの仔ですがNorthern Dancerの父方の母とノーザンテーストの母の母が同じHyperionの仔Lady Angelaです。Lady Angelaからすると孫と娘の間に生まれた仔で、表にあるように37.5%という濃いインブリードとなっています。当初言われた見栄えしない風貌はこの辺からきているのでしょうか?
通常インブリードが濃いと健康面と気性面に課題のある産駒が産まれやすくなるのですが、産駒には勝負強い馬が多く気性が良い方向に出たように思います。後は小型にでた一因も濃いインブリードにあるのかもしれません。繁殖牝馬Lady Angelaの血量は37.5%ですが、種牡馬としてHyperionの血量は奇跡の血量と言われる18.75%となります。競走馬としては大成できませんでしたが、種牡馬としての成功にはこういった要素もあるのかもしれません。
産駒など
10回リーディングサイアーになったのですが、さぞかし多くの名馬を輩出したと思われますが、牡馬は案外そうでもないのです。
牡馬のクラシックを勝ったのはダービー馬ダイナガリバーのみです。アンバーシャダイが有馬記念と天皇賞(春)を勝ち、ギャロップダイナが天皇賞(秋)と安田記念を勝っています。
サイアーラインとしてもアンバーシャダイがメジロライアン-メジロブライトと繋ぎましたが現在では途絶えています。
一方で、牝馬はオークスを勝ったシャダイアイバー、ダイナカール、アドラーブルやダイナアクトレスをはじめ多くの活躍馬を輩出しています。
また、ダイナカールからはエアグルーヴが産まれるなどBMS(母父:ブルードメアサイアー)としての活躍が目立っています。
一部ですが以下ノーザンテーストがBMSになっている馬たちです、ダイナコスモス、サッカーボーイ、サクラバクシンオー、サクラチトセオー、フラワーパーク、エアグルーヴ、アドマイヤコジーン、テレグノシス、デュランダル、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、カンパニー、トウセンジョーダン等々です。
まさしく、現在の日本のサラブレッドの礎を築いたと言って過言ではないでしょう。
上記の通り、10回に渡りリーディングサイアーになりましたが、その後1993年リアルシャダイ、1994年トニービンが単年でリーディングサイアーになります。その後はサンデーサイレンスの天下となるわけです。
次回はサンデーサイレンスの前にこれも一時多くの種牡馬を輸入したミスタープロスペクター系について書いてみたいと思います。
今回は以上です。
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