モンジュー(Montjeu)の活かし方

名馬解析

モンジューと言えば凱旋門賞でエルコンドルパサーと一騎打ちを演じた馬として、日本でもある程度認知度があると思います。

モンジュー(Montjeu)はフランス・アイルランドのダービー馬で凱旋門賞、Kジョージ六世&QエリザベスSを勝ちました。名馬と言えます。

凱旋門賞勝利後JCにも参戦し、4着しました。その後も活躍しましたが、連覇を狙った凱旋門賞の敗戦以降勝てずに引退し、種牡馬になっています。

種牡馬になり多くのG1ホースを輩出しました。そのうちの1頭が後で出てくるMotivatorです。

日本にも産駒が外国産馬として入ってきましたが、いかんせん日本の馬場では重く、29頭は活躍はできず、重賞を勝てませんでした。

モンジューの血統

欧州でリーディングサイヤーに14回輝いたNorthern Dancer系Sadler’s Wellsですが、日本の馬場には重くて、洋芝の北海道シリーズに若干の適性があっただけでした。

ただ、父Northern Dancerは近代競馬の始祖的存在で、欧州の中長距離を席巻したSadler’s Wellsの他にも、スピード系のDanzigやStorm Catなども出していて、アメリカのリーディングサイヤーになっています。

モンジューは英国の菊花賞セントレジャー産駒を出すなど、やはり欧州の中長距離血統で、日本の競馬には合わない「重い」血脈と言えます。

このモンジューの血脈を持つ2頭がこの1か月の間にG1とG3で勝利しました。

先週の福島記念を勝ったパンサラッサと菊花賞馬タイトルホルダーです。

パンサラッサとタイトルホルダー

パンサラッサは父ロードカナリア、母ミスペンバリーは外国産馬で父モンジューです。モンジューはパンサラッサのBMSになります。

タイトルホルダーは父ドゥラメンテで、菊花賞の勝利で、産駒初のG1制覇となりました。母メーヴェは国内5勝で4歳夏に札幌で2勝し、内1勝が2600mの丹頂Sでした。

タイトルホルダーのBMSつまりメーヴェの父はMotivatorでモンジュー産駒です。ただこちらMotivatorのBMSがミスプロ系Gone Westでモンジューの重さが中和されていたと言えるでしょう。

G1とG3ではレベルは違いますが、モンジューゆかりの2頭が逃げ切って勝ったのは、単なる偶然ではないと思います。

パンサラッサの場合は明らかにロードカナロアのスピードとモンジューのスタミナを活かす戦法としての「逃げ」は血統面から根拠のある戦法です。

タイトルホルダーの方はいかにBMSがMotivatorであっても、父がドゥラメンテなので、中距離では決め手不足で、時計の掛かる馬場で、ある程度展開に恵まれないとスピード不足ですが、中長距離なら、決め手勝負にならないように、早めに攻めて、後続に足を使わせる戦法が取れることで、自分でレースを作れる有利さがあります。

この逃げ先行で、自分でレースを作ることが、日本でも欧州の重い血統を活かす方法であると言えます。

また、スローの上り勝負が多い、近年の日本の競馬に一石を投じる戦法でもあります。

2頭の今後

さて、2頭の今後ですが、パンサラッサはサイレンススズカほどではないにしろ、ツインターボのような馬にはなって欲しいし、なれるでしょう。

ただ、いつも目一杯の競馬になりますので、疲労の蓄積には注意してもらいたいと思います。

菊花賞での逃げ切り勝はセイウンスカイを思い出します。

タイトルホルダーには、セイウンスカイが勝てなかった春の天皇賞ではすでに有力馬でしょう。また、モンジューが勝った凱旋門賞など欧州G1でも通じるのではと思っています。

まとめと希望

BMSモンジューでは、ロードカナロアのようなスピード特化型の種牡馬をつけて、果敢な競馬をすることで活路を見出して欲しい。

一方で、Motivatorはすでにタイトルホルダー以外でも、BMSに持つ馬ではヴァンドギャルドやエリザベス女王杯で2着したステラリアがいて、すでに活躍していています。

Sadler’s Wells➡Galileo➡Frankelと重い血統も3代かければ強いマイラーが出る可能性があります。

モンジューもMotivatorを経て、特にディープ系種牡馬との相性の良さがあるようです。

個人的には、ドゥラメンテやモーリスなど日本競馬を支えてきた牝系を持つ種牡馬との間に活躍馬が出て欲しいなと思っています。

また、Motivator産駒には、凱旋門賞でオルフェーブルを負かした牝馬トレヴなど、凱旋門賞にゆかりの深い血脈といえます。

タイトルホルダーには是非とも凱旋門賞へ挑戦してほしいと思います。

コメント