キズナについて
ディープインパクトは偉大な種牡馬サンデーサイレンスの後傾種牡馬として、父の13年連続まではいきませんでしたが、11年連続(2012~2022年)のリーディングサイアーとしての地位を築きました。
そんな中2010年にキズナが産まれますす。
2011年3月に東日本大震災が発生しましたが、その後”絆”と言う言葉をもとに、なかなか進まないまでも、日本全体で復興を目指していた時期に、キズナはデヴューし、父を彷彿とさせる圧倒的な末脚で新馬-特別を連勝し期待されました。
しかし、その後ラジオNIKKEI杯3着、年明けてクラシックに乗るために参戦した弥生賞ではゴール前5頭による接戦に届かず5着でした。
そして、個人的に最適距離と考えている毎日杯で完勝し、皐月賞をパスして京都新聞杯を連勝して堂々とダービーに臨みました。
そのダービーでは、ライバルと言えるエピファネイアが抜け出したところを、スタート1番枠でしたが、直線外に出して差し切り、父を彷彿とさせる末脚による劇的な勝利でした。
その後キズナとともに復活した豊君と凱旋門賞へ挑戦します。トライアルのニエル賞に勝利しますが、本番は健闘するも4着でした。
翌年はG1昇格前の産経大阪杯で勝利し、天皇賞に向かうとここも4着でした。
血統的に春の天皇賞は距離的に違うような気がしていますが、怪我も判明し、再度翌年京都記念で復帰後、昨年と同じローテで産経大阪杯2着から天皇賞に臨みますが7着に敗れ引退に追い込まれます。
個人的な意見ですがダービーを勝ったことで適距離を見誤ってしまってダービー後の現役活動がしぼんでしまったように思えます。
調教師の佐々木氏も2度目の天皇賞前には体型が胸前が発達し、マイラーになってきたと言っていたのですが…。
天皇賞は天皇賞でも秋のレースを見たかったと思うのは私だけでしょうか。
キズナの血統
後に黄金配合と言われるディープインパクト×Storm Cat産駒です。
この配合からはキズナ以外に下記産駒を輩出しています(以下獲得賞金順)
ダノンキングリー 2016 安田記念、ダービー2着
サトノアラジン 2011 安田記念
リアルスティール 2012 ドバイターフ、皐月賞・菊花賞2着
ラヴズオンリーユー 2016 オークス、QE2世C、BCF&Mターフ、香港カップ
ラキシス 2010 エリザベス女王杯
エイシンヒカリ 2011 香港カップ、イスパーン賞
G1馬7頭は黄金配合(ニックス)と言うには十分な実績と言えるでしょう。
ダービー馬キズナがいますが、マイルから2000mで差し脚を伸ばして勝つスタイルの馬が基本型と言えそうです。
Storm CatはNorthern Dancer系のDanzigと並ぶスピード系です。Northern Dancerは競馬史上マイルストーンになる偉大な種牡馬で、ヨーロッパで一時代を築いた中長距離向けサドラーズウェルズ系もNorthern Dancer系です。
祖母の父も大種牡馬Damascusで、あらゆる距離で勝った半世紀以上前の怪物ですが、後継馬にはスピード系が多かった。
以上のことから、キズナが種牡馬になれば、基本的には胸前の発達した大型でマイルから2000mでスピードがありパワーもある馬が最も多く出ることが想像されました。
キズナはディープインパクトの主たる後継馬になれるか
産駒初年度の2017年生まれ、2019年デヴュー組からは;
まずはマルターズディオサが阪神JF2着の後、チューリップ賞を制します。秋には紫苑Sも勝ちますが、牝馬3冠レースは8、10、7着といわゆるトライアルホースで終わります。
牡馬ではまだ現役のディープボンドが京都新聞杯を制しましたが、3冠は10、5、4着でした。その後阪神大賞典の連覇もありましたが、春天では2着3回、3着1回、有馬記念2着と後一息でしたがやはりトライアルホースまででした。
また、ディープボンドと同じ大型馬で全くタイプが違う、スプリンターであるビアンフェも出ましたが、こちらは逃げでしか好走せず、モズスーパーフレアという天敵もいましたので、こちらもG1には届きませんでした。
ただ、この世代でもG1を勝てなかったかわけでもなく、4歳の夏前に3勝クラスを卒業したアカイイトがその秋にエリ女を勝っています。
2018年生まれからは牝馬限定G1ではなく安田記念連覇を果たしたソングラインが出ます。惜しかったのは3歳時の桜花賞で、おてんば娘メイケイエールの暴走の被害をもろに受け惨敗、気を取り直して出走したNHKマイルでは、ほぼ勝ちでしたが内にもたれてこちらも後のマイル王シュネルマイスターにハナ差差されてしまいます。
ただ、その後安田記念連覇、2年目はヴィクトリアマイルからの連勝でマイル王者として引退しました。
2019年生まれからはダートでのハピが代表になるような年でした。
2020年生まれの世代でもクラシックはサヴォーナが能力は落ちそうですがディープボンドと同じようなタイプでG2を賑わせそうですがG1はどうかと言った内容です。
ディープボンドが現役を続ける中、物足りない成績が続いていましたが、ディープインパクトの死亡のせいで良い繁殖牝馬がまわってきたのか、2021年生まれの中から、ついにクラシックの皐月賞の勝馬ジャスティンミラノが産まれたところです。
これでトライアルホース種牡馬から一流種牡馬、ディープインパクトの主たる後継種牡馬へのゲートが開いたと言えます。
ジャスティンミラノの血統
母父Exceed And Excelは父母共に短距離系Northern Dancer系です。豪での戦績は1200~1400mのG1を勝っているスプリンターです。
母の戦績は英1000mの直線競馬のG1を勝っています。
ただ、母母父Shareef dancerは愛ダービーの勝馬ですし、曾祖母Darshaanは仏ダービー馬です。
この牝系が活きれば短距離系とは言えず、むしろ欧州の中距離系を牝系に持っている地力型と見ることもできます。
とは言っても、新馬戦と共同通信杯がドスローからの上りの競馬を勝ち切ったと言えますが、内容的に強さの証明にはならなかったので、母の戦績からも距離伸びて、中身のある強さについては未知数でした。
皐月賞はメイショウタバルが刻むハイペースを先行勢としてついて行き、3コーナー過ぎから戸崎君の手が動いたことから、直線ジャンタルマンタルに離されましたが、坂の途中からしぶとく伸びてきて、坂上で差し切りました。
前2走で発揮できなかった底力を発揮し、強さを証明した結果となりました。
この記事はオークス後ダービー前に書いていますが、オークス3着した、ライトバックは父キズナ、母父Exceed And Excelと曾祖母の父Darshaanが同じで81.25%同血だったので注目していましたが、ライトバックは気性難で馬群の後ろからしか競馬ができないマイラー脚質ですし、かなりいれこんでいた状態でしたが3着まで差してきました。
その点、ジャスティンミラノは操縦性が良く、底力勝負でも、上りの競馬でも勝っていますので、好走は約束されているでしょう。
ただ、やはりベストは2000m前後でしょう。秋は菊花賞へ行くのか天皇賞へ行くのかも注目です。
相性が良さそうな配合が見えてきた?!
これまでの代表産駒でマルターズディオサは450㎏程度でしたが、多くは500㎏前後の胸前が発達した大型馬です。
スタミナが与えられると何か足りない中長距離馬になります。中距離系も米国系など更にパワーが強化されるとダートでも強い馬を輩出できます。
ただ、これまで、2頭のG1勝ちを産んだソングラインとアカイイトは明らかな共通点があり母父がロベルト系のシンボリクリスエスである点です。ロベルト系は日本でも成功した継投で当初はブライアンズタイムやリアルシャダイが3冠馬ナリタブライアンやライスシャワーなど多くの活躍馬を出しました。
ソングラインは更に牝系がソニンク一族でスピードと底力があり、やはり底力のあるスピード型と会うのではないかと思います。
アカイイトを含めて、京都新聞杯を勝って今週のダービーに出走するジューンテイクもいますし、キズナ×シンボリクリスエスはキズナ産駒のニックスになるかもしれません。
Exceed And ExcelなどのDanehil系はDanzig系としてのスピードとリボー系の底力のある血統に欧州系の重すぎない血統構成はライトバックを含めて結果が出ていますので、Exceed And Excelと断定するのではなくDanehil系まで遡って注目していきたいと思います。
最後に今週のダービーに5頭のキズナ産駒が挑戦します。ジャスティンミラノはもちろん有力候補になりますが、他の4頭について前記の傾向を踏まえて評価して見ます。
③ジューンテイク:これは母父シンボリクリスエスなので、今後活躍できる血統背景はあります。ここでは前走は内をすくって恵まれて勝った点、ローテーションと乗り替わりなので今回は厳しいと見ますが秋以降注目していきたいと思っています。
⑩サンライズジパング:こちらはスピードはあるもののパワーが勝っていて、府中の2400mで決め手を発揮できるとは思えない。
⑫シックスペンス:牝系はミスプロ系でもFappiano系とDanzig系がダブルでクロスしていますので、これはダービーでは買えません。ワンターンの1800m以下でしょう。ひょっとしたらダートもいいかも。
⑰ショウナンラプンタ:こちらはミスプロ系やキズナの母父Storm Catの日本のダートに向くヘネシ-が母母父なのであまり食指は動かない。ただ、母が南米からきているので血統だけでは推し量れないものがありそう。
今年は牡牝共にキズナの当たり年と言われていますが、今後も続くことを期待したい。
では。
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