〇〇の呪い⁉~秋の天皇賞は逃げきれない

レース関連

秋の天皇賞の歴史と私見

秋の天皇賞は1983年まで春と同じ3200mで行われていました。

新設されたJCの開始3年後、2000mに変更になりました。

天皇賞3200m→JC2400m→有馬記念2500mから天皇賞2000m→JC2400m→有馬記念2500mになり、有力馬の3連闘を可能にしたのです。

昔は多くのトライアルが本番よりも短い距離で行われ、本番レースへの興味をっ繋ぐようなレース構成でした。

この改定により、現代のローテーションのあり方では考えられませんが、当時の有力馬たちは3連戦を戦うようになっていきます。

最初の年1984年こそ前年の3冠馬で高い人気があったミスターシービーが勝って大いに盛り上がりましたが、ミスターシービーの輝きもここまででした。

その後は2年連続で無敗の3冠馬であるシンボリルドルフに全く歯が立ちませんでした。

そのシンボリルドルフも翌年スイープに挑戦ましたが、春の天皇賞以来でギャロップダイナに惜敗し、②→①→①着でした。

この頃からJCの海外から招待馬の格が下がり、日本馬のためのレースになっていきました。

結果スイープに成功したのはテイエムオペラオーとゼンノロブロイだけでした。タマモクロスやシンボリクリスエスがニアミスしています。

この頃私が不満に思っていたのは、府中の2000mと言うワンターンではないけど近い形態のコースで、中距離のスピードと58㎏を背負って底力を競うレースはとてもスリリングなレースと感じていたのですが、3連戦の初戦ということで、その後の2戦のトライル的な位置になった時期があり、有力馬が8分程度の出来で出走していたように思え、天皇賞をないがしろにしていると感じていたことでした。

それも近年は3連戦を使うような有力馬はほぼいないので、ぶっつけでも、きちんと仕上げる調教技術の向上も手伝って、レベルの高い本気のレースになり、質が高く、反面荒れにくいレースに変わってきました。

永く競馬をそれこそ秋の天皇賞が3200mの時代から競馬を見てきましたが、昨年・一昨年のレースなんて、まさしく秋の天皇賞のベストレースと言えるものでした。

秋の天皇賞は極めて逃げ切りが難しいレース

さて、秋の天皇賞が2000mになって40年近く、逃げ切るのが難しいレースと見ています。

では、全く逃げ切りが無かったかと言うと2度逃げ切った馬がいます。

1987年ニッポーテイオーと1991年プレクラスニーがいます。

ただ、プレクラスニーの場合はその6馬身先に2コーナーの斜行で失格になったメジロマックイーンがいました。

ニッポーテイオーの場合はメンバーレベルに恵まれたと思いますが、先に述べたように、この時代では、後を狙う中長距離馬はでき8分くらいで出てくることから、スピードで押し切られたと思います。

その後、1984年以降逃げ切った馬はいません。

最も近かったのは2008年のダイワスカーレットでウオッカとの叩き合いの末にハナ差で敗れました。

逃げ切りが決まったレースの共通点

1991年の例は含めたくありませんが、この2レースに共通する点があります。

それは馬場が重・不良だったと言うことです。

天皇賞の歴史は長いので物心つく前のレースは知りませんが、3200mの時代を含めても1980年のやはり不良馬場で逃げ切った牝馬プリティキャストしか知りません。

結果逃げ切りではありませんが、2017年キタサンブラックが勝った年も不良馬場でした。あの出遅れが無ければキタサンブラックが逃げ切っていたかもしれませんね。

今年も不良になれば、パンサラッサが逃げ切るかもしれません。

何故逃げ切りが難しいのか

近年逃げ切れなかったのは大した逃げ馬がいなかったのではないかと言うとそうでもありません。

確かに、ツインターボやシルポートと言った、格下の快速逃げ馬が逃げて粉砕した例も少なくないのですが、メイショウドトウ、ローエングリン、ダイワスカーレット、トウケイヘイロー、エイシンヒカリ、キセキ、アエロリット、ダノンプレミアム、そして何といっても単勝1.2倍で故障し、予後不良となったサイレンススズカ。

結構なメンバーです。

ダイワスカーレットが2着、アエロリットとキセキが3着までに来ているだけです。

これまで、2006年のような5F1:02.4なんてドスローはもうでないと思いますが、長い距離で11秒台のラップが続く中で逃げ馬は最後のダラダラ坂で力尽きることが多いのです。

2019年アーモンドアイが勝ったレースは馬場が良く、勝ちタイムも59.0-57.2=1:56.2と速かったのですが、ラップは最初の1Fラップを除き9F続けて11秒台で最速が11.1、ラスト1Fが最も遅く11.9でした。

また、最も勝ちに近づいたダイワスカーレットのラップは58.7-58.5=1:57.2でしたがラスト1F12.6と掛かったことが敗因でした。

つまり、早いラップの継続の中で、早い上りを求められることから、逃げ馬には不利なレースと言えるでしょう。

ですから、上りが掛かる重・不良馬場でしか、逃げ馬が活躍できるレースではないと言えると考えます。

不遇の結果を招いたサイレンススズカの呪いみたいなことが言われるかもしれませんが、そうではなく、大逃げで上りが掛かるのではなく、平均して早い流れを作って、更にタメが効いて早い脚で上がれる逃げ馬が現れれば、このジンクスめいた傾向を打破できるかもしれません。

その点、今年のパンサラッサは、やはり馬場が重以上に悪化しないと好走は難しいでしょうね。

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