Mr. Prospector系の例外Kingmambo系

Mr. Prospector

世の中にはなかなか割り切れないものが少なくはありませんが、血統の世界も例外が発生することが少なくありません。

Mr.Prospector系の産駒が牡馬のクラシックを勝つことはないと思っていましたが、このKingmambo系からは4頭のダービーが出ています。

Kingmamboはアメリカで産まれましたが主戦場はフランスでした。仏2000ギニーやムーラン・ド・ロンシャンなどマイル戦で成績を上げています。母ミスエクがマイラーだったので、ムーラン・ド・ロンシャン母仔制覇になります。

血統的には母はマイラーでしたが、母父がNorthern Dancer系の底力を伝えるNureyevであり、その母方もリボー系で爆発力とこちらも底力を上手く受け継いだのでしょう。スピード、底力のバランスがうまく取れていて、追ってからもばてない日本の競馬に対応できる血脈になっています。

例をあげればキングカマハメハが勝ったNHKマイルCは4F45.6、5F57.8と当時でもハイペースで5馬身差の圧勝、ダービーでは5F57.6のマイル戦のような超ハイペースを前目に構えて4コーナー3番手から抜け出し、さすがにほぼ最後方から追い込んできたハーツクライには迫られましたが1馬身半退けて当時のレコード勝ちでした。

直線で遊びながら悠々と勝ったドゥラメンテの皐月賞のように、5F59.2とある程度流れれば強さ・爆発力のある馬が出てくるのが特徴と言えるでしょう。

この系統で最初に日本で活躍したのはエルコンドルパサーでした。母も日本人の所有馬でアメリカで産まれてから持ち込まれました。2000年以前は外国産馬は出走制限があり、クラシック競走と天皇賞に出走できませんでした。それでも日本ではNHKマイルCとジャパンカップを勝っています。7戦6勝で敗れたのは毎日王冠であのサイレンススズカにのみでした。翌年はフランスでサンクルー大賞を勝って凱旋門賞は接戦の2着でした。

ただ、その後種牡馬になってからはダートの王者ヴァーミリアンや菊花賞馬ソングオブウインドを輩出しましたが、その後の展開は見いだせない状態です。

その後、前述したキングカメハメハが産まれます。キングカメハメハは持込馬でしたが、この頃には出走制限が撤廃されていて、クラシック出走が可能になっていました。京成杯で謎の敗戦はありましたが、8戦7勝でNHKマイルCとダービーを勝ち、神戸新聞杯(当時は2000m)を勝利した後故障し、引退しました。

自身が初のMr. Prospector系のダービー馬になりましたが、自身の産駒から更に2頭のダービー馬(ドゥラメンテ、レイデオロ)を輩出しているだけでなく、毎年のようにG1ホースが出ています。

特に2年目の2007年の産駒はローズキングダム、アパパネ、ルーラーシップを輩出し、その後のこの系統の活躍が約束された年と言えます。ちなみにこの年のダービーはKingmambo系King’s Best産駒エイシンフラッシュが制覇して、ローズキングダムが2着でKingmambo系のワンツーでした。しかも牝馬路線はアパパネが3冠を達成しています。

短距離系では史上最強のスプリンターとも言えるロードカナロアや古馬になってから化けたラブリーデイ、気性が悪く勝ったG1は朝日杯フューチュリティステークスのみですけれど、良血リオンディーズなど今後も勢力が拡がっていくことは間違いない状況です。

日本ではミスプロ系のサイアーラインはこのKingmambo系以外は広がりませんでしたが、牝系は今も影響力を与えています。

実は今年の2冠馬コントレイルも牝系はミスプロ-Unbridled’s Song系です。血統的には圧勝した府中の1800から2000mがベストだと思っています。完成度でダービーまでは勝ち続けましたが、この秋はどうなるでしょうか。閑話休題。

Mr. Prospectorが産まれて今年で50年、半世紀です。まだまだ、アメリカでは2017年Unbridled’s Songがリーディングサイヤーになるなど活躍しています。「一本調子」のマイナス面は残りますがその血は薄くなっていきます。もう四半世紀もすればMr. Prospectorの名前は5代血統表から消えていくかと思いますが、そのスピードと一本調子のある特徴は何らかの形で残されていくのでしょう。

さて、Kingmambo系が日本の競馬に適しているということは欧米では?が付きますので、日本以外でこの系統が勢力を広げることはないかと思います。日本ではキングカメハメハ系として今後どこまで勢力を伸ばしていくでしょうか。サンデーサイレンス系との相性を含めて興味は尽きません。

次回はそのサンデーサイレンス系に入っていきたいと思います。

コメント