JCは圧倒的な地の利を活かすレースです

レース展望

開催が重なり、初期の海外からの参戦馬に圧倒された時代は、今は昔です。海外馬の参加も少なく、国際競争とは名ばかりの日本馬のためのレースになっています。

2019年は外国馬ゼロでした。昨年はなんとか3頭の参加を得ましたが、国際競争と言うには低調です。

私のこの件に関しては3つの大きな要因ががあり、それらの相乗効果と思っています。

  • 2002年の馬場改修
  • サンデーサイレンス産駒の活躍
  • 賞金とローテーション

馬場の改修

馬場の改修は、水はけを良くした路盤の改修でクッションが良くなり、雨の少ない春の季節では、かなり早い時計が出るようになり。「軽さ」が目立つようになりました。前日に雨が降っても、当日降らなければ、回復がとても速い馬場になりました。

これによって、欧州の馬場とはより異質のものになったと言えるでしょう。

まず坂はダラダラ坂ですが、欧州の競馬場、特に英国の競馬場からしたら、どこに坂があるの?レベルです。

また、長い洋芝の粘りとクッションの利いた軽い馬場とパワーとスタミナの必要度合いがさらに広がりました。欧州の馬場が重くなると、日本では信じがたい時計になるくらい、馬場質が違うのです。

こうして、特に欧州との違いが開いたと言え、つまり、最も軽い時期の府中でダービーを勝つような馬は、欧州では適合しないと言えると思います。

逆もしかりで、欧州の種牡馬が約束されているクラシックホースはわざわざ合わない馬場の、しかも極東まで危険を冒してくるようなことはなく。そこそこの牝馬か、G1好走した古馬・騙馬となります。

日本馬が活躍するのは欧州よりも比較的馬場が近い香港やドバイでの活躍が目立つのでしょう。

馬場質重い - 欧州 > 米国 > 香港・ドバイ > 日本 - 軽い

サンデーサイレンス産駒の活躍

そこへ持ってきて、スピードの絶対値とタメの利くサンデーサイレンスが輸入され、その産駒、孫たちがJCを席巻しています。

過去10年間の勝馬はサンデーの血が25%以上入っています。頭数も多いのですが、2、3着も多く入っています。

母・父ともに非サンデー系が勝ったのは2009年ウオッカまで遡ります。

また、外国馬の勝ちは2005年キングマンボ系アルカセット以降、3着以内は翌2006年のウィジャボード以降は日本馬の独占状態です。

全体時計も上りも速くなると、底力勝負にはならず、サンデー系のタメを利かせて早い上りが使える馬たちがどうしても有利になるからです。

賞金とローテーション

更に、よく言われていますが、ローテーション的に、米国ブリダーズカップから中2週、フランス凱旋門賞から中7週と厳しいこと、年末に香港もありますしね。

日本馬が凱旋門賞帰りでJCに出ることはなくなりましたが、欧州馬は参加する場合凱旋門賞からと言うのはメインのローテになります。そこまでさせるには海外陣営のモチベーション次第になります。

あごあし付きだった初期から、高額賞金で「釣る」ことにより、ある程度の参戦がありましたが、近年最近の円安前からベストテンには入るもののそれほど高額な賞金ではなくなっていました。そこに円安です。

ただ、今年は4億円になり、ボーナスも用意されています。さらに来年は5億円になるそうです。

こうなると、一流馬は無理でも、その次に位置する馬・関係者にとっては不利な条件でもモチベーションになることは間違いありません。

今年以降

以上。きついローテーション、合わなく、固い(と思われている?!)リスクのある馬場、それほど高いとは言えなかった賞金、他に使うレースが無く帯同馬が同行できない点などありますが、この賞金やボーナスなら来年以降もそれなりに参加してくれるでしょう。

今年は4頭もの海外馬が参戦してくれました。内3頭はG1ホースです。

一方で、好条件に関わらず、シャフリヤールが大将格の日本勢は少し心許ない感じがします。

早い上りが使えるシャフリヤールには絶好のレースで、スローで絶好の上りの勝負になったドバイシーマクラシックに続きG1 2勝目なるか、有力でしょう。

強い3歳馬からは3・4番手のダノンベルーガで、皐月賞・ダービーともに4着、天皇賞は3着(実質2着?!)と古馬に入っても上位の力はあります。ただ、勝ち切れない事実もあり、気性やラストの決め手に欠けている事実がありますが、克服できるでしょうか。

後は、京都大賞典で圧巻の末脚で完勝したヴェラアズールで、父らしいスローから早い上り勝負で結果を出しています。本格化状態で臨むここはチャンスがありそうです。

ただ、これなら外国馬にもチャンスがあるでしょう。実際昨年3着だったシャフリヤールと5着グランドグローリーとの差はわずか0.3秒でした。

他にはシムミカルは日本に合いそうな血統で、すんなりした競馬なら力は出せそうですし、オネストは日本でもそこそこ走っているFrankel産駒です。

もう無条件で外国馬を無印にする。そんな時代に終わりを告げる転機で合ったらいいなと思います。それが真の国際競争としての価値の向上であるとも考えています。

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