キングヘイローを解析します

血統について
  • スプリンターズステークスを勝ったピクシーナイト
  • トライアルホースとしてセントライト記念を勝ったアサマノイタズラ
  • キズナ産駒ながら阪神大賞典を楽勝し、天皇賞春と有馬記念で2着したディープボンド
  • ダートのキングスガード
  • 今後短距離界で活躍しそうなスマートクラージュ

これら、昨年活躍した馬たちですが、勝った距離もコースもバラバラです。

ただ唯一の共通点があり、それはBMSがキングヘイローという点です。

今回は、数は多くはないけれど、注目の母父(以下BMS)血脈であるキングヘイローについて解説できればと思います。

血統

馬名からすると、ヘイロー産駒かなと思われますが、ヘイローはBMSで、父はダンシングブレーヴになります。

ダンシングブレーヴはNorthern Dancer系Lyphard(リファール)産駒です。

Northern Dancerは欧州向けスタミナと底力のあるSadler’s Wellsやアメリカ向けのスピード寄りのDanzigやStorm Birdなど多数の活躍馬を輩出していますが、Lyphardはその中間でマイルも走る短中距離系でした。

キングヘイローのBMSはヘイローです。ご存じサンデーサイレンスの父です。ヘイローの父Hail to Reasonからはヘイローとロベルトが主流の系統です。おおまかに言えば、ヘイロー系はアメリカ向けの短中距離系、ロベルト系は欧州向け中長距離系です。

キングヘイローの父、母共にBMSはSir Gaylord系です。父方のDroneは4戦4勝のまま引退したようですが、母方のSir Ivorは英2000ギニーからエプソムダービー、英チャンピオンS、ワシントンDCなど7F~12Fまで勝った名馬です。

そして、さらに母方を遡るとBMSとして底力を伝えるBuckpasserがいます。

全体的には短中距離系の筋が多いのですが、実際、父ダンシングブレーヴはマイル戦から使われ始め、狙い通り2000ギニーを勝ち、エプソムダービーも挑戦します。結果こそ2着でしたが、その後、キングジョ-ジ、凱旋門賞まで勝っています。

ダンシングブレーヴやSir Ivorのように、血統を超えた怪物の血筋が入っていますが、血統全体の流れからは欧州短中距離系と言えるでしょう。母方にもよりますが6~10Fで活躍馬を出しそうな血脈と言えるでしょうか。

競争成績

キングヘイローの実績は6.4.4.13です。

G1では1.2.2.10で勝ったのは高松宮杯、皐月賞とマイルチャンピオンシップで2着、スプリングステークスと安田記念3着でした。

その他中山記念、東京新聞杯、東スポ杯を勝っていて、重賞4は賞でした。

皐月賞2着後のダービーは14着で、2000mを超えたレースでは京都新聞杯2着がありますが、ほぼ着外でした。

G1-1勝でギリギリ種牡馬になれるかという戦績でしたが、Northern Dancer – リファール系の短中距離系で可能性を残したと言えます。

産駒

産駒デビューは2004年で出走頭数31頭、勝ち上がり頭数は9頭でした。

その後2010・11年の170頭台がピークでした。

先の戦績で、多くの種付けができたのは、何といっても3年目にカワカミプリンセスが産まれたからだと思います。

カワカミプリンセスは年明けのデビューと遅かったのですが、3連勝でスイートピーステークスを勝ち、オークス出走権を取ると、オークスもアーモンドアイの母フサイチパンドラを破って優勝し、次戦の秋華賞も5連勝で勝った女傑です。

そのオークス後、スプリングステークスと父同様高松宮杯勝ちのローレルゲレイロがデビューします。

ただ、この2頭の後は、AJCCを勝ったクリールカイザー、阪神カップを勝ったダイアナヘイローを産みますが、G1ホースは、上記2頭でした。

現在となっては、この血をサイアーラインで継承していくことはかなり難しくなりました。

ただ、BMSとしての活躍はスピード・底力を上手く継承しているので、まだまだ活躍馬が出ていくでしょうし、香港で怪我してしまいましたが、ピクシーナイトが産駒に継いでいくことでしょう。

まとめ

ダンシングブレーヴは重すぎない欧州系で、もっと日本でも成功して良かったのではないかと思います。

ただ、牝馬にはキョウエイマーチ、テイエムオーシャンと桜花賞他を勝った強い馬が産まれましたが、牡馬ではキングヘイローしかG1を勝っ馬は出ませんでした。

また、血を繋いだキングヘイローからは、こちらも強い牝馬カワカミプリンセスは産まれましたが、牡馬ではキングヘイロー同様に短距離G1を2勝したローレルゲレイロしか産まれませんでした。

そして、ローレルゲレイロから血を繋ぐことは極めて難しい状況です。

一方で、BMSとしての活躍は冒頭述べた通り、血統からは異色なステイヤー・ディープボンドが出るなど、あらゆる距離で活躍馬を出しています。

まだまだ今後、キングヘイロー産駒の牝馬はいますので、後四半世紀は活躍する可能性がありますね。

期待しましょう。

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