ワグネリアンの急死に思う

Opinion・特集

ワグネリアンが急死しました。

かねてから、私は競馬関係者が「ダービーは特別」という割には、ダービー馬のその後の使われ方に疑問を持っていました。

かつては3冠馬ナリタブライアンのようにダービーが11戦目みたいなことはありました。1994年ですから、致し方ないかなとは思いますが、最後2戦が春の天皇賞(3200m)から、当時は5月にあった高松宮杯(1200m)ですからね。今からすれば酷いものでした。

2014年ワンアンドオンリーに至っては、ダービー勝利後、神戸新聞杯を勝って以降23連敗で、うち9戦が二桁着順でした。最高着順がドバイシーマクラシックの6頭立て3着でした。

ハーツ産駒なので、古馬になって再成長を期待したにしても、休みなく使い倒した感じです。

近年のダービー馬はほとんどディープ産駒で、基本的傾向である「早熟」と、上りの脚の早さなので、能力ある産駒はダービー時には完成された末脚を活かす競馬ができるようになっています。

ワグネリアンの他に、ディープブリランテ、キズナ、マカヒキ、ロジャーバローズ、コントレイル、シャフリヤールとダービー馬が輩出されました。

上記ディープ産駒のダービー馬7頭の内、私の血統観ではディープブリランテを除いて、母方は短中距離血統です。それで早熟を更に早めていると見ています。

それは、ダービー勝利後に、更にG1を勝ったのはコントレイルの菊花賞とJCのみという事実が裏付けています。

コントレイルのように、4歳末での引退があるべき姿だと思います。

なかには、ダービー馬には出来る限り、長くレースに出て欲しいと思う方もいるかもしれません。

それでも、ダービー馬を5歳以降も使い続けることは、種牡馬としての活力も逓減させてしまい、仮に種牡馬になっても成功確率は下がってしまうと思うのです。

また、私は「ダービー馬はダービー馬から」という言葉を信望しています。

現在では、キンカメ産駒、ディープ産駒のダービー馬がいますので、それほど珍しくありませんが、国産の種牡馬がクラシックホースを産むのは珍しいことでした。

ましてや、日本のダービー馬が日本のダービー馬を輩出することは極めてまれだったのです。

私が知る限り、この半世紀ほどで、キンカメ、ディープ以前では、シンボリルドルフ→トウカイテイオー、ネオユニヴァース→ロジユニヴァースのみです。

ネオユニヴァースはダービー馬ではありませんが、ヴィクトワールピサがいますので、隔世でダービー馬を産み出す可能性はありますが、トウカイテイオーはもうサイアーラインでの継承は絶望的ですし、ファミリーラインでも尽きかけています。

それほど、稀有だった「ダービー馬はダービー馬から」の例が、ここ10年で9頭のダービー馬の父が日本ダービー馬です。

とは言っても、ディープインパクトもキングカメハメハも存命ではありません。

ディープ産駒のダービー馬7頭のからダービー馬が輩出される可能性は高いものの、確実ではありません。

だからこそ、ダービー馬を大事にして欲しいのです。

ディープ産駒の種牡馬は飽和状態になるにしても、ダービー馬としてのプライドをもたせる使い方をオーナーにはしてもらいたいと思います。

早く引退できなかったことを悔やみながら、ダービー馬の早世に合掌です。

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