クロノジェネシスを解析します ver2

名馬解析

2021年前半も今週の宝塚記念を残すのみです。

クロノジェネシスはこの春、まだドバイの1戦のみで、ここが2戦目になります。

この秋で引退かもしれませんが、本当にこの世代の牝馬はグランアレグリア、ラヴズオンリーユー、カレンブーケドールと相当強いと思います。これらの次世代もとっても楽しみです。そのためにも今年末で活力を残したまま引退した方が良いかなと思います。

1例ですが、ウオッカの産駒が振るわないのは、彼女の血統もありますが、現役時代に海外遠征の多さを含めて、使われすぎたせいだと思っています。

血統

以下、クロノジェネシスの血統表です。

父バゴは凱旋門賞馬ですが、血統的にはマイラーにも見えます。

バゴの父は快速Red God系Nashwanですが、Nashwanは2000ギニーに続き英国ダービーやKジョージ6世&QエリザベスSにも勝った名馬です。

血統を額面通りに受け止めたのでしょう、デビューから7F、8Fと距離を伸ばして行き、2冠を制覇しています。マイルの2000ギニーは驚きませんが、ダービーまで勝ったのは世代戦だからかなと思いましたが、Kジョージ六世&QエリザベスSまで勝っているので血統を超えた能力を持っていた。

バゴ自身もフランスで主にマイル戦を使われ、マイル〜2000mのG1を勝ち進み、徐々に距離を伸ばしていきました。

そして3歳秋、勢いで凱旋門賞に勝ちますが、その後2400m級のレースを勝つことはありませんでした。距離を持たせたのは底力のNureyevの影響であることは理解できるものの、その母型がMr. Prospector なので12FのG1を勝ったのは意外と言えます。

 

BMSのクロフネの父は、パワー型中距離馬Northern Dancer系フレンチデピュティで、種牡馬として牝系を活かす一流種牡馬です。

春の天皇賞を勝ったアドマイヤジュピタ、宝塚記念を勝ったエイシンデピュティからNHKマイルを勝ったピンクカメオ、桜花賞馬レジネッタなどを出しています。更にアイビスサマーダッシュを勝ったサンアディユまでいますので、まさに万能と言えると思います。

そのフレンチデピュティとG1勝利はないものの、やはりパワー型マイラーと言えるClassic Go Goですから、クロフネも、本来はパワー型マイラーと言えます。

実際NHKマイルを勝ち、ダートの武蔵野は9馬身差の完勝。続くジャパンカップダート(当時は府中ダート2100m)も距離の不安はありましたが、こちらも前半は後方で脚を溜め、3コーナー手前からヒトマクリして7馬身差の圧勝でした。本当に豊君は血統わかっている。

本質的にはパワー型マイラーですが、距離の融通は効くタイプといえます。

そして祖母方は、サンデーサイレンスです。

総合的に、パワー型中距離馬と見るべきですが、小柄な牝馬なのでスピード・切れが増したと言っていいでしょう。

過去の戦績から

クイーンカップ 438kg(+2)

府中のマイルで、4F48.4-4F45.8=1:34.2の後傾ラップを上り3F33.1で差し切りました。

血統的に切れが心配されましたが、この程度の切れはあると証明されました。

ただし、この後馬体重が減っていきます。特にオークスでは細身になっていました。結果的にですが、小柄な馬にはこのレースを使ったことは望ましくなかったと思います。

桜花賞 434kg(-4)

阪神マイルで4F47.7-45.0=1:32.7とこちらもかなりの後傾ラップで上り3F32.9の末脚を繰り出しましたが、グランアレグリアを捕らえられず、シゲルピンクダイヤには交わされて3着でした。

マイルG1を勝てるだけの瞬発力に欠けた内容でした。

オークス 432kg(-2)

府中2400mで6F71.3-6F71.5=2:22.8という早い平均ペースで4角5番手から上り3F35.4で3着でした。

坂を上がって上位2頭に差をつけられたことで、距離の不安を感じられました。

ただ、馬体も寂しく、馬場は内が悪く、内々を通らざるを得なかった不利はありました。

秋華賞 452kg(+20)

京都2000mで5F58.3-5F61.6=1:59.9と時計の掛かる馬場で前傾ラップで四角5、6番手から上り3F36.1で完勝でした。

オークスからのぶっつけでしたが、時計の掛かる馬場での強さを発揮しました。また、微減が続いていた体重も+20kg増えていました。

ここでは、間をあけた方が良いこと、地力勝負に強いことが証明されました。

エリザベス女王杯 448kg(-4)

京都の2200mで6F75.6-5F58.5=2:14.1の後傾ラップで4角5番手から上り3F33.3でも5着でした。

内から上り32.8の脚を使ったラッキーライラックが復活勝利でした。

やはり、上りの競馬で切れ勝負になるとG1では3着が精一杯になります。

宝塚記念 464kg(+10)

中間京都記念と大阪杯に出走しています。

重馬場の京都記念を完勝して、間をあけて時計が掛かる馬場だと妄想の強さを見せることを再確認しています。

大阪杯は再度決め手の差でラッキーライラックの2着でした。

宝塚記念は稍重の阪神2200mで直前に豪雨があり時計の掛かる馬場で、6F72.4-5F61.1=2:13.5の前傾ラップを4角先頭からから上り3F36.3で6馬身差の圧勝でした。

時計が掛かる力勝負の強さは一流である証明をしました。

天皇賞  464kg(0)

アーモンドアイとの直接対決でしたが、舞台が明らかに相手有利でした。

しかも、スタートで出遅れ気味に挟まれて後方からに、ペースもスローでしたが、上り32.8で迫ったことが収穫でした。

成長とともに、上り勝負にも対応できるようになってきたと思います。2000mが適距離とも言えるのかもしれません。

有馬記念 474kg(+10)

やや時計の掛かる馬場、後ろから行って、早めにマクり、押し切った強い競馬ではありますが、さすがに最後は詰め寄られました。

これでG1を3勝し、グランプリレース2連勝となりました。

ただ、距離的に対応はできるけど、ベストの距離ではないように見えました。

まとめ

結果、欧州マイル血統✖️パワー型スピード血統でスピード型であるべきはずですが、父母ともに血統以上に距離が持つことで、2000m前後を得意としていますが、2400m位までは対応可能です。また、瞬発力は対応できるようになってG1級になってきました。ただ、時計が掛かった方が強さを発揮できることは血統・実績からも裏付けられます。

また、馬体重増と地力増が相関関係にあり、有馬記念時点でデビューから30kg増と成長してきました。この成長を伴う馬体重増はそろそろ止まる時期かもしれません。

ドバイシーマクラシック2着時まで7.3.3.1で、唯一馬券圏内を外したのはエリザベス女王杯のみです。それでも5着です。

先輩の女傑や最強の同期にG1制覇を阻まれてきましたが、それでもG1をグランプリレース2勝を含め3勝しています。十分女傑と言えるでしょう。

シーズンオフで時計が掛かる時期に行われるグランプリレースは最適なレースの一つと言えるでしょう。しかも、有馬記念より距離が短かく、直線も短い内回りコースのここは、国内G1ではベストの舞台と言えます。

では。

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