天皇賞を展望します

レース展望

こんにちは。今回は私の最も好きなレース秋の天皇賞です。

かつては秋も3200mで行われていましたが、グレード制の導入とジャパンカップの新設で2000mになりました。とてもエキサイティングなレースになったと思います。

チャンピオンディスタンスは2000mと2400mですから、春も2400mになったら良いのになと思います。2マイル以上のレースはステイヤーズステークスの他にもう一つG2があれば十分でしょう。

さて、秋の天皇賞はスピードと底力のバランスが問われるレースで、特に牡馬58kg、牝馬56kg(3歳馬2kg減)のハンデ戦以外では最重量を背負いますので、底力を必要とし、実力の差が出やすいレースでもあります。

一方で、コース改修以来、専門家が、クッションの効いた「トランポリン馬場」と言い出している通り、信じられない時計が出ていて、ガラパゴス化しています。

その申し子が、かつてはジェンティルドンナ、現在ではアーモンドアイでしょう。

下(土台)の軽さ・クッションでスタミナを消耗しないで足が溜まり、持ち前の瞬発力を活かすレースで勝ち続けてきました。

今年もその点アーモンドアイは不動の有力馬になります。

過去10年の結果

以下過去10年の結果です。

馬場勝馬騎手タイムペース通過母父
2019アーモンドアイルメール1:56.259.0-57.25-6-5ロードカナロアサンデーサイレンス
2018レイデオロルメール1:56.859.4-57.46-5-5キングカメハメハシンボリクリスエス
2017不良キタサンブラック武豊2:08.364.2-64.111-5-2ブラックタイドサクラバクシンオー
2016モーリスムーア1:59.360.3-59.05-5-4スクリーンヒーローカーネギー
2015ラブリーデイ浜中1:58.460.6-57.84-4-4キングカメハメハダンスインザダーク
2014スピルバーグ北村宏1:59.760.7-59.013-14-12ディープインパクトLycius (Mr. Prospector系)
2013ジャスタウェイ福永1:57.558.4-59.111-10-9ハーツクライWild Again (Nearctic系)
2012エイシンフラッシュMデムーロ1:57.357.3-60.011-12-12キングズベストプラティニ
2011トーセンジョーダンピンナ1:56.156.5-59.611-10-11ジャングルポケットノーザンテースト
2010稍重ブエナビスタスミヨン1:58.259.1-59.19-8-8スペシャルウィークCaerleon
ペースは5F-5F

ペースは2010年が平均で2011~2013年が前傾ラップ、2014年以降は平均ペース1回以外はすべて後傾ラップになっています。

血統的にはサンデーサイレンス系が4頭でKingmambo系4頭、その他2頭でコースに合いそうなディープインパクト産駒はこのコースのスペシャリストだったスピルバーグのみですが、2015年2着、2016年は2、3着、2017年3着、2018年2着、2019年2着とコンスタントに馬券に絡んでいます。

前傾ラップになれば、4角10番手前後からの差し・追い込みも決まりますが、基本的には後傾ラップで、前目から脚を伸ばせる馬が有利です。

各馬診断

アーモンドアイ

ロードカナロア×サンデーサイレンス産駒です。

母のフサイチパンドラは牝馬クラシックを賑わせましたが、桜花賞14着、オークス2着、秋華賞3着でした。距離的に2000mは欲しくG1を勝つ決め手に欠けていた印象です。

エリザベス女王杯に勝っていますが、これもカワカミプリンセスの降着による繰上りでした。

ただ、川崎エンプレス杯(ダート2100m)でも2着しているように、スタミナとパワーがあったことは確かです。

これに、ロードカナロアのスピード・瞬発力を上手く引き継げたことで歴史的名馬になっています。

とは言え、距離的には1600~2000mが適距離です。

オークスやジャパンカップの勝ちは、解説者たちが最近言うようになった府中のトランポリン馬場によるもので、道中のスタミナのロスを防ぐ能力とコースに恵まれたと思っています。

今年は先週半ばまでの雨で、去年ほどタイムはでないとは思いますが、それでも能力的には勝ち負けできるものがあることは間違いなく言えると思います。

キセキ

ルーラーシップ×ディープインパクト産駒です。

祖母が血統の割には快速だったロンドンブリッジですが、産駒からはロンドンブリッジの父ドクターデヴィアスの影響を強く受けたオークス馬ダイワエルシエーロや、母父Danzigの影響を受けたグレーターロンドンのようなマイラー、短距離馬も出ています。

キセキは、これまでの実績からは前者ドクターデヴィアスの影響を受けたとと同時に、ルーラーシップ産駒らしく、切れる脚はないものの、長く足を使える特徴を活かした逃げ戦法で、古馬混合G1制覇にあと一歩まで行きました。

近走は気性の悪さが出てきて、出遅れ癖が顕著で、時に致命的な出遅れをするようになってしまいました。

ムラ掛け状態ですが、良馬場で控えてしまうと、後方から切れる脚がないので、良馬場の2000mでは出遅れが致命的になる可能性があります。

ここは、程度にもよりますが、出遅れても強引な競馬をしないと残れないと思います。

クロノジェネシス

別記事「クロノジェネシスを解析します」で詳しく述べていますのでそちらを参照してください。

ジナンボー

ディープインパクト×キングカメハメハ産駒です。

ただ、ここは単にキングカメハメハ産駒ではなく、牝馬3冠のアパパネの馬名通り第2仔になります。

名牝の仔が強くなる保証はなく、アパパネの仔も今一つ強い馬が出てきません。ようやくローカル重賞で2着に入りましたが、ここでは厳しいでしょう。

スカーレットカラー

ヴィクトワールピサ×ウォーエンブレム産駒です。

父母からのMr. Prospector系の血が入っていますが、差し馬として磨きが掛かってきました。

前走は捌けず脚を余しましたが、3着の穴はこの馬かなと思います。

ダイワキャグニー

キングカメハメハ×サンデーサイレンス産駒です。

完全なサウスポーで左回りしか走りません。適距離は血統からも1800mを中心とした1600~2000mとなります。

前走、去勢明けにもかかわらず好走しました。更に強くなった観があります。

展開的に有利な先行勢の中で、最も魅力があるのはこの馬で、どこまで粘れるかでしょう。

ダノンキングリー

現代のニックス、ディープインパクト×Storm Cat産駒です。

祖母系からも中距離系のスピードを受け継いでいますが、決め手に欠ける観があります。

実績からも、皐月賞3着、ダービー2着、マイルチャンピオンシップ5着、大阪杯3着と前哨戦は勝てますが、G1では勝てません。

どうも最後伸びずになだれ込む観があります。

ただ、この馬にとってベストの舞台であることに変わりはなく軽視はできません。

ダノンプレミアム

ディープインパクト×Intikhab ( Roberto系 )産駒です。

IntikhabはG1勝ちはありませんが、マイルG2勝ちがあるマイラーでした。

祖母方もディンヒル系で、スピードと底力を伝えています。一方で勝負強さは疑問です。

Intikhab自体にCrafty Prospectorが入っているので、日本では差す競馬で力を発揮します。

この馬にとっても、古馬混合G1で最も力が発揮できるのは秋の天皇賞だと思います。

フィエールマン

ディープインパクト×Green Tune ( Green Dancer系 )産駒です。

母リュヌドールはフランス産ですが、イタリアのG1リディアテシオ賞(2000m)を勝っています。Green tuneはGreen Dancer系ですがBMSがMr. Prospectorのせいかフランス2000ギニーや1850mのイスパーン賞を勝っていてマイラーでした。

中距離血統でも欧州系だと、日本ではステイヤーの血になってしまうのです。

従いまして、血統の字面通りであれば、2000mは適距離なのですが、一方で、この距離における決め手があるか気になります。

ブラストワンピース

ハービンジャー×キングカメハメハ産駒です。

典型的なピンかパータイプで14戦して7勝していますが、2、3着はありません。G3を除くと上りが掛かるレースに良績が集中しています。

良馬場の府中2000mは向かないと思います。

今のところ…

今年は確固たる逃げ馬が不在で、後傾ラップが必至です。

そうなると、決め手の勝負ですが本来なら、ディープインパクト産駒ですが、昨年完勝したアーモンドアイが出てきた以上、本命にせざるを得ません。

昨年3馬身差で敗れたダノンプレミアムですが、アエロリットがインをあけたせいで、アーモンドアイは全く無駄な距離を走らなかったので、悲観する内容ではなかったと思います。休み明けでもきちんと仕上げる中内田厩舎と川田君。今度こそ。

ダノンキングリーもこの舞台が理想的な舞台です。近走は行きすぎてしまって末をなくしていたので、戸崎君にはもう少し脚を溜めるか、控えてマクルかして欲しいと思います。

後は、3着候補とするつもりです。

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